【プレスリリース】土壌水分見える化システム_20240722
アグリショット株式会社は、和歌山県先駆的産業技術研究開発支援事業に採択された、ICTを活用したカンキツ栽培の品質および収量の向上を推進するスマート農業実装プロジェクトを、令和6年3月に完了しました。
ミカンの糖度および収量の向上には、土壌の水分を適切に管理することが必要です。しかし、灌水のタイミングの判断は、生産者が所有する農地の環境特性に基づいた生産者個人の経験と勘に依存している上、地区全体で土壌水分量を計測してタイムリーに情報共有できるインフラがないため、過度の乾燥による隔年結果(隔年で収量が大幅に増減すること)や乾燥不足による品質の低下が生じるという課題があります。
そこで今回の実証研究では、和歌山県有田地域を中心に、約50箇所に国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)で開発されたカンキツ用簡易土壌水分計1を弊社独自のIoTシステムに組み込んで設置し、産地全体をカバーする土壌水分計測ネットワークを実装しました。LPWA(省電力広域ネットワーク)の一つであるSigFox通信規格を採用し、畑に設置したセンサで計測された土壌水分量および温湿度データを弊社クラウドデータベース上に蓄積し、ミカン栽培における品質および収量向上に効果的な値を分析・可視化できる「土壌水分見える化システム」を開発しました。これにより、今後産地全体でスムーズな情報共有が可能となります。
「土壌水分見える化システム」上の栽培モデルの値に基づいて、土壌の水分量を常時監視することで最適な灌水タイミングを逃さず、タイベックシートの敷設を適切に行うことで、糖度の維持2と収量の安定化を両立させることが可能となります。一方で、ベテラン生産者の圃場における土壌水分量の“勘所”をデータ化し、周辺地域で共有することにより、スキル継承の一助とすることも可能になると考えています。
さらに、同時計測した温湿度データから、ミカンを加害する病害虫の発生予測を行い、防除の適期を共有することで効果的な農薬散布を実現できます。適切なタイミングでの防除作業は、無駄な農薬散布回数を減らし、結果的に減農薬につながります。また、気温データから作物の生育を予測する機能を追加実装し、温暖化に対応した新しい栽培ソリューションの構築を提案してまいります。
カンキツ用簡易土壌水分計の利用方法標準作業手順書
https://sop.naro.go.jp/document/detail/61推定糖度は、農研機構 (2015) 「簡易土壌水分計の水位低下量はカンキツが受けている乾燥ストレスの指標となる 」の大三島「石地」の糖度と積算水位低下量の関係式から算出。https://www.naro.affrc.go.jp/org/warc/research_results/h27/pdf/05_kougaku/27-0503.pdf
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https://cloud.agrishot.com/soil-moisture/map.php
プロジェクト概要
実装検証期間 | 2022年12月1日~2024年3月31日 |
実装検証フィールド | 和歌山県カンキツ生産地域 |
実施の背景 | ミカンの糖度および収量の向上には、土壌の水分を適切に管理することが必要です。しかし、灌水のタイミングの判断は、生産者個人の経験と勘に依存しており、地区全体で土壌水分量を計測して情報を共有できるインフラがありません。その結果、過度の乾燥による隔年結果(隔年で収量が大幅に増減すること)や乾燥不足による品質の低下が生じるという課題があります。 |
目的 | ICTを活用して産地全体のミカンの品質および収量を向上させることです。土壌水分の適切な管理を通じて、隔年結果や品質の低下を防ぎ、生産の安定化を図ることを目指します。 |
実施内容 | 和歌山県有田地域を中心に、約50箇所に国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)で開発された簡易土壌水分センサを、当社独自のIoTシステムに組み込んで設置し、産地全体をカバーする土壌水分計測ネットワークを構築します。 |
結果 |
1.IoT土壌水分計測装置の設置 |
土壌水分見える化システム(乾燥ストレス見える化システム)について
【かんきつ】乾燥ストレス見える化システム
お問い合わせ先
アグリショット株式会社
担当者:曽根、硲田、尾崎
TEL:073-494-7720
FAX:073-478-2655
E-mail:info@agrishot.com
URL:https://www.agrishot.com/