お知らせ

【プレスリリース】和歌山県が公募する「令和6年度先駆的産業技術開発支援事業」に応募し、「果樹における病害虫発生予測システムの開発と大規模効果検証」が採択されました。

当社は、和歌山県が公募する「令和6年度先駆的産業技術開発支援事業」に応募し、「果樹における病害虫発生予測システムの開発と大規模効果検証」が採択され、2024年10月より本プロジェクトを開始しました。
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/063100/d00211050.html

先駆的産業技術開発支援事業とは、
和歌山県では、平成22年4月、「和歌山県新技術創出推進条例(平成21年10月施行)」に基づき、卓越した新技術の創出を推進することにより、先端的な新たな産業の振興と既存産業の高付加価値化を図り、活力あふれる本県経済を実現するための方策を定めた「和歌山県産業技術基本計画(令和2年5月改定)」を策定しました。
本事業は、基本計画に基づき、国内に限らず海外でも高いニーズが見込まれる先駆的な産業技術の研究開発を行う県内企業等の取り組みを支援し、新技術の創出と実用化を図ることにより、県産業の高度化と地域経済の活性化を目指しています。
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/063100/senku.html

本事業では、圃場に設置したセンサ及び気象メッシュデータを活用し、病害虫の発生予測をおこない農家に通知するシステムを構築し、その効果を検証します。気候変動に対応した病害虫防除体系を確立することで、効果的な薬剤散布により結果として減農薬を実現し、産地力のさらなる向上に貢献します。

柑橘や柿、桃、ぶどうなどの果樹類の病害虫防除では一般的には、防除暦と呼ばれる散布時期と使用農薬を記載した暦に基づいて農薬散布が行われています。しかしながら、過去の発生消長を元にした防除暦を基準にした防除では、近年の気候変動や局所的豪雨に対応した防除が難しく、特に主要害虫であるカイガラムシ類の被害が多発し、商品化率の低下、樹勢の低下が問題となりつつあります。また、カイガラムシ類に比較的有効であった有機リン系薬剤の世界的な使用中止により、代替薬剤での防除で対応しているが、代替薬剤では有機リン系薬剤に比較して散布適期が短く、防除効果の高い若齢幼虫期の発生ピークを的確に把握し防除する技術の確立が急務です。

上記の問題を解決するために、LPWA通信機能を持った弊社製気象計を産地の代表的な地点に複数台設置し、リアルタイムに環境データ(温湿度等)を取得するとともに、気象メッシュデータも活用し、各圃場地点での病害虫の発生予測をおこなうアプリケーションを開発しました。多くの病害虫は、雨量や積算気温をパラメータとして、発生消長を予測できることがわかっており、各生産農家の個別の圃場での防除適期を予測し、防除計画に組み入れることで効果的な薬剤散布を実現します。無駄な薬剤散布を削減することにより、化学農薬の使用量および生産コストの削減にも貢献することができると考えています。発生予測モデル式は、大学や農業試験場にて公表されているモデル式をまずは採用しつつ、実際の圃場での発生消長による検証を行う予定です。

生産農家はパソコンやスマートフォンから、任意の地点の病害虫発生リスクや発生予測日を入手し、防除計画を調整することができるようになります。

プロジェクト概要

実装検証期間2024年10月1日~2026年3月31日
実装検証フィールド和歌山県ほか
実施の背景気候変動や局所的豪雨による病害虫被害の拡大
目的ICTを活用して病害虫発生予測をおこなうことで、効果的な薬剤防除を実現し、結果として減農薬、生産コストの削減を目指す
実施内容当社独自の気象計及び気候メッシュデータを活用し、病害虫の発生予測をおこなうウェブアプリケーションを開発し、生産農家に利用していただきながら、システムの効果検証を行う
対象病害虫かんきつ:黒点病、カイガラムシ類、アザミウマ類
かき:炭疽病、カキ円星落葉病、カイガラムシ類、アザミウマ類
うめ:黒星病、かいよう病、すす斑病、ウメシロカイガラムシ、クビアカツヤカミキリ
もも:モモハモグリガ、ナシマルカイガラムシ、ウメシロカイガラムシ、クワシロカイガラムシ、クビアカツヤカミキリ
ぶどう:チャノキイロアザミウマ、フジコナカイガラムシ、べと病
(2025年1月現在)

TOP